保育園での感染症対策に欠かせない手洗いと換気、マスクについて特に注意すべきことを中心に説明しています。
皆さんの保育園での日常の様子をイメージしながら、十分に感染症対策を行うことができているかを考えながら読み進めてください。
1、保育園での感染症対策の3原則
保育園での感染症対策の原則は以下の通りです。医療現場でのコロナ対策を応用して定めたものになります。
全ての人が感染しているという前提
コロナの危険度の高さで保育室を分類し、それに応じた感染症対策の実行
手洗い・消毒・マスク・換気・清掃など感染予防のためにする行動
詳しくは『医療現場から学ぶコロナ対策1 未知の病気を予防するために必要な基本的な考え方』にて解説しています
この記事では保育園での感染症対策の3原則の根本となる手洗い、換気、マスクについて大切なポイントをお伝えします。
2、手洗いを見直す
手洗いは、接触感染を起こさないために行います。
接触感染は病原体が付着しているものを触った手で身体を触ることによって、ウイルスが侵入して感染することを指します。
そのため、流水による石けんでの手洗いや手指消毒用アルコールで消毒で病原体を減らすことが接触感染の予防に重要になってきます。
感染が成立する条件や流れについては別の記事『感染を防ぐために知っておきたい3つの条件 理解から始めるコロナ対策2』にて詳しく説明していますので、ぜひご一読ください。
手洗いはウイルスを減らすことに実際に効果が認められています。
手洗いをしなかった時に比べると、以下のようにウイルスの減少が研究で明らかになっています。
流水で15秒すすぐと、100分の1に減少
ハンドソープで10秒もみ洗いして流水で15秒すすぐと、1万分の1に減少
ハンドソープで10秒もみ洗いして流水で15秒すすぐことをを2セット行うと、100万分の1に減少
人は無意識に顔を1時間に23回も触っています。
目や鼻、口などウイルスが侵入する場所は1時間に10回も触っています。
特に外にいる時や手洗いができない状況では顔を触らないように意識してください。
手洗いは正しく洗う習慣を身につけることが何より欠かせません。
歯磨きのように毎日丁寧に行うことが習慣づけになります。
面倒臭いからパパッと終わらせるのではなく、保育士や保護者が子どもの手本となり重要な感染症対策だと意識しながら正しく行うようにしてください。
爪の間にもウイルスが入るので、爪の長さにも注意してください。ネイルや付け爪をしている人がいるようなら、爪先はさらに念入りに洗うようにしてください。
時計をつけている場合は外して、手首まで洗ってください。
3、換気を見直す
換気の目的は、ウイルスがいる空気を外のウイルスがいない空気と交換することで感染を防ぐことです。
ただ窓を開けておくだけでは換気は十分とは言えません。部屋の中の空気を外に出すように空気の流れを作る必要があります。
そのため、サーキュレーターや扇風機を活用します。窓から空気が外に出るようにサーキュレーターなどを設置する場所を工夫してください。それだけで、換気効率がとても高まります。
さらに1つの窓を開けるだけよりも、複数の窓を開ける方が空気の循環が生まれやすくなります。
医療機関で行われている感染症対策の1つとして部屋を感染の危険度で分類するゾーニングというものがあります。ゾーニングを保育室で行うときも換気を意識しながらサーキュレーターの配置を考えてください。
詳しくは『保育室を感染の危険度で分類してみる 医療現場から学ぶコロナ対策2』にて解説しています
4、マスクを見直す
マスクをつけることで感染者からの飛沫を減らせるため、自分から相手への感染を予防することができます。
一方で、マスクをしていると表情から得られる情報が大きく減ります。子どもにとって感情の理解が難しく、発達にも影響すると考えられています。保育士は透明マスクを着用して、子どもに表情をしっかり見せられるようにすることが望ましいです。
さらにマスクにはリスクがあります。呼吸器発達に影響を及ぼすことが懸念されています。子どもは必ずしもマスクをつけるべきではないと頭に入れておきましょう。
特に小さい子どもへのマスク着用の強要は様々なリスクを引き起こします。
呼吸器官が未発達であること、自分の体調を自分で把握できないことが要因です。
マスクをつけている時は、より一層子どもの体調や様子に気を配るようにしてください。
熱中症リスク
窒息リスク
病気の発見が遅れるリスク
熱中症リスク
呼吸による放熱がマスクによって遮られてしまうため、特に夏場は熱中症にならないように配慮が必要です。
窒息リスク
マスクは呼吸がしにくくなるため、呼吸器官や心臓への負担になります。
窒息や呼吸停止につながる恐れもあります。
病気の発見が遅れるリスク
顔色、表情など体調不良に伴う変化への気づきが遅れるため、病気の発見が遅れてしまいます。
まとめ
普段の取り組みがいざというときに意味をなします。
コロナに感染した可能性があるという時のために、保育士全員が責任を持って対応できるように十分な事前準備や心構えを行っておきましょう。
保育園の形は1つではありません。
保育園の経営者、園長先生、保育士が、「自園が取るべき行動は何か?」と主体的に考え、行動することが何よりも大切です。その一歩のための支えになることができましたら、これほど嬉しいことはありません。
みなさまのお力になれることがあればご連絡ください。
「経営課題について解決支援をしてほしい」という具体的なご相談はもちろん、「とりあえず話を聞いてみたい」という場合でも、相談は無料ですので保育園のコロナ対策や経営についてご不明な点や疑問点などありましたらお気軽にご相談ください。
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